つぎはぎ/偶像/天使たち

脳内、日記、自分か好きな人の精神分析、てきとー独自哲学などなど

りゅうちじょのはなし(フィクション)

フィクションの話の続きです

 

勾留が決まって初めての朝。前日は10日間にカウントされておらず、今日からの10日間らしい。処方されていることの確認が取れたので昨夜はマイスリー10mgで寝た。とてつもない心労で眠れた。というか眠らないとここでは時が過ぎないので、みんななるべく眠ろうとしているようだ。朝、一番の楽しみは本を借りることである。午前、午後で一冊ずつ借りれる。こんな場所で本の激戦が起きる訳がないのだが、「あのーこれ、他の人と重複したらどうなるんでしょう?」なんて訊いたりしていた。私の留置所の蔵書の分析は「閉鎖空間で自分を見つめ直す話、あるいは真っ当に生きようと思わせるエッセイ」です。そういうのが置いてあるように認識しました。

 

とりあえず留置所にいる間中、「少年たち」の劇中歌「俺たちは上等」が頭に流れていた。

『盗んじゃない🎶借りただけさ🎶百年先🎶会ったら返す🎶』

それで済む世の中ではない。

 

「少年たち」における戸塚祥太のハキハキした口調は、逮捕後に求められているものです。あれは正解。

 

記念すべき留置所での2冊目は伊坂幸太郎「魔王」ちょうど安倍首相暗殺のニュースが連日流れ、留置所でも18時になると昼のニュースが流れるのだが、ずっと報道されていたため、伊坂幸太郎って予言者!!??と大変楽しく読ませてもらった。その日は午後まで通しで「魔王」を読んだ。この日から三食全て完食するようになり、しかも私の好きな茄子が高確率で入っているので嬉しかった。前回書いたが、掃除は嫌である。伊坂作品を読んだので、「砂漠」が読みたいなぁ、と思ったがないのがもどかしい。

翌日、3冊目は堺雅人の「文・堺雅人を借りた。

お察しの通り、写真が載ってるのでとつかさんに似てる写真が載ってないかな、という期待からだった。一枚かなり似てるショットがあったので、そのページばかり見ていた。本文もとても面白く、篤姫に妙に詳しくなった。午後はもう一回「重力ピエロ」を借りた。暗記チャレンジをしているのだ。この日は「運動時間」という名の室内点検があり、運動と言っているが運動場で10分くらい突っ立ってるだけである。暑かった。ちなみに本当に運動をしても良い。その後軽い身体検査。あの雑な手付きは忘れられない。たしかこの日がお風呂の日で、お風呂というのは監視付き15分洗髪必須を指す。私は普段必ず2時間はシャワーをする長風呂なので、信じられなかった。5日に1回とのこと。族あがり看守に「これもまた人生だぞー」と言われるがそんな人生そうそうないよ。この日はマイスリーを飲んでもなかなか寝付けず、看守に「メルカリの発送があるんでスマホ返してください」とラリって言うなどした。その後寝た。留置所は、家より寝れる。

3日目。4冊目、2回借りたのを含めば5冊目は加藤シゲアキの「ピンクとグレー」を借りた。私は戸塚担なのでキャラ被り+とつかさんの持ってないものを全て持ってる加藤シゲアキにかなり複雑な思いを持っているので、まあこんな機会でもないと読まないかな、と借りる。恐らくほぼ実体験の作品だと思うのだが、幼少期〜高校までの住んでる場所が(本人も)私の地元であり、あーあそこかー、などとなっていた。影響元のパーフェクトブルーは私も好きなので、あーね、となったり。主要キャラのあだ名がごっちで五関を思い出したり。遺書のシーンが気に入って午後も借りた。巻末インタビューに書かれた山下智久※2011年に脱退」の文字を何回も見たりしていた。アイドルに触れる手段がない。

4日目。6冊目。また「ピンクとグレー」を借りる。どうにかしてジャニーズのコンテンツに触れたいという思い強し。この日は親と弁護士の面会があった。親はやつれていて心配だった。本を読んで面白かった、ということを伝えると、「本、読ませて貰えてるんだね」と泣いていて、辛かった。差し入れにメガネを貰い、ようやく時計が見えるようになる。弁護士との面会は事件に関してと、今後の流れ等を話した。ご飯が美味しいと言うと、小声で「普通こういうとこって…不味いんですよ…」と言っていた。「ピンクとグレー」も暗記チャレンジをしていた。基本留置所ではマイスリー10mgで眠れている。

5日目。7冊目は村上春樹の「ノルウェイの森 上」を借りた。

一日一冊では必ず時間が余ってしまうのが悩みだったので、文章の長そうなこれをチョイス。村上春樹があまり好きではなかったので、やっぱりこんなことにもならないと読むことはなかっただろう。午前の時間は大分短いのでかなりの速読で上を午前中に読んだ。そして午後に8冊目「下」を借りたのだが、これが誤算で上に比べて大分ページ数が少ない。やられた…と思うが、面倒くさい文章は考察のし甲斐があるので、ラストシーンの考察をずっとしていた。けっこう面白かった。嫌いな作家の本も、留置所で読むと面白い。以降村上春樹を毛嫌いしなくなった。弁護士との面談。示談金10万を「誠意を見せろ」などとエロ漫画のようなことを言われ30万上乗せして告訴を取り下げてもらったらしい。なのでもうすぐ出れるとのこと。

6日目。借りた本は何だったか忘れたが何かを読んだ。9冊目。親との面会、話すことがなくなり、「あの、(とつかさんの)ブログのスクショ、一応お願い」とか言ってしまう。弁護士との面談。恐らく今日取り調べがあって、明日また検察庁に行って、そのまま帰れるだろう、とのこと。実際その日、取り調べがあった。取り調べというか、全部の罪を認めていく作業だ。自分の映ったスクショにマルをつけて、これは私です、と書いたり、といった作業。映像が出せないのは向こうが私に暴行をはたらいてるのがバレるからだろうなと思い、感情を殺し、マルをつけていく。私についていた少年課の女刑事が中島裕翔の父親と同期らしく、もう一人の優しいパパといった感じのベテラン男刑事はなるべく心を開かせようと(少年課の刑事はこういうすごく優しい人とゴミカスに分かれる)なるべくジャニーズの話を振ってくれた。いわちのコンサートがあるんです〜と言ったら、じゃあそれまでには出ないとね。と優しかった。人の優しさに触れて感動した。雑談で高額転売チケと500円チケの話をしたら、500円が信じられなかったらしく、詐欺じゃないの!?と繰り返し言われる。少年犯罪で大事なのは罪を認め反省すること、大学も行ってて俺らよりよっぽど優秀なんだからこれからは清く生きていきなさいと言われ感動。優しさと無縁の環境ゆえすぐ感動する。良い人だった。すごく良い人だった。※これは逮捕マジックです。

7日目。「お出かけ」があるのがわかっていたので、何回も読んだ本、ということでまた「ピンクとグレー」を借りる。検察庁ではいはい答えてたら終わる軽い問答の末、釈放。しかし連絡の行き違いが生じ、なかなか私物が届かない。まあそれなりに時間はかかったが、母親が迎えに来て一応無事帰れた。後日家裁に行かされたが。親曰く金髪だから余罪追求されたんだよ。とのことで、黒髪に戻すことに。美容院までの時間で1パチの源さんで1万7千発くらい出しました!やったね!もう二度と捕まりたくない。シャバに出たら橋本良亮が休業してた。大ショック。